鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

あるいは気まずさの効用について(青崎有吾「早朝始発の殺風景」)

会話劇が好きです。さらに、シチュエーションがシンプルであればあるほどいい。というわけで「早朝始発の殺風景」を読んだ感想です。全編ワンシチュエーションかつ登場人物は最低限というストイックさ。楽しかったー。 早朝始発の殺風景 (単行本) 作者: 青崎…

スキップ、ローファー鳴らして(高松美咲「スキップとローファー」)

「カナリアたちの舟」の高松美咲先生によるほのぼのスクールライフコメディ「スキップとローファー」の感想です。素晴らしかった。 スキップとローファー(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 高松美咲 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/01/23 メディ…

終わってないけど、終わる世界の片隅で(赤坂アカ「インスタントバレット」)

祝・「かぐや様は告らせたい」アニメ化! ib ?インスタントバレット?(1) 世界の終わりとボーイ・ミーツ・ガール (電撃コミックスNEXT) 作者: 赤坂アカ 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 発売日: 2014/04/24 メディア: Kindle版 この…

高校生の季節(米澤穂信「本と鍵の季節」)

米澤先生の新刊は二年ぶりらしいですが本当ですか? なんかもっと出てた気がする。いまさら翼といわれてもとか一年くらい前じゃない? はいそれはさておき、今回は米澤先生の「本と鍵の季節」の感想です。二年ぶりらしいです。 本と鍵の季節 (単行本) 作者: …

回帰、拡張、絶望の底はまだ遠く(オキシタケヒコ「筺底のエルピス6-四百億の昼と夜ー」)

筺底のエルピス6巻の感想になります。今回もやばかったですね。みんなやべえやべえ言ってて何事かと思いながら読んだら本当にやばかった。 筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜- (ガガガ文庫 お 5-6) 作者: オキシタケヒコ,toi8 出版社/メーカー: 小学館 発売…

真っ赤な嘘と青い春(石川博品「耳刈ネルリ三部作」)

石川博品先生の「耳刈ネルリ三部作」の感想になります。一巻二巻のお祭り騒ぎももちろん素晴らしかったのですが、三巻から感じた「まつりのあと」の物寂しさが特に素晴らしかったです。 耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫) 作者: 石川博品 出版…

唐突に漫画ATB:群像劇編

突然ですが自分的にオールタイムベストとでもいうべきおすすめ漫画をいくつか紹介したいと思います。他に「短編編」「ギャグ編」「青春編」「特別編」など考えていますが今回は群像劇編です。次回があるかはわかりません。 1.「Landreaall」おがきちか(連載…

逃避行、片道五分(志村貴子「娘の家出」)

恥ずかしながら志村貴子先生の作品を読んだのは初めてでして。「娘の家出」、とっても良かったです。部屋の隅で埃をかぶっている青い花と敷居の住人を早く読まなければ…… 娘の家出 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者: 志村貴子 出版社/メーカー: 集…

日々は過ぎ去り変わってゆく(しめさば「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3)

ひげ三巻の感想です。今回は三島が……三島が……。 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3 (角川スニーカー文庫) 作者: しめさば,ぶーた 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/01/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 2人でいることがすっかり当た…

誰かの頭の中の水槽(詩野うら「チラシのウラ漫画」ほか)

チラシのウラ氏改め詩野うらさんの漫画が本になるそうです。というわけで今回はweb漫画「チラシのウラ漫画」のお話です。 有害無罪玩具 (ビームコミックス) 作者: 詩野うら 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/02/12 メディア: コミック この商品を含む…

雑記とか書いた方がブログっぽくなるのでは(ブログについて)

早いものでブログを始めて一か月が経ちました。思ったよりちょくちょく記事を書けてるなと思ってます。この調子で続けられればいいんですが。 初めて知りましたがブログって機能すごく多いですね。全然使いこなせません。最近ようやく、太字やら下線部やらを…

L・O・V・E!を繋いで(リレー小説「ネコのおと」)

富士ミスが生んだ問題作、「リレーノベル・ラブバージョン」こと「ネコのおと」の感想です。ネタバレまみれですのでお気をつけて。 ネコのおと―リレーノベル・ラブバージョン (富士見ミステリー文庫) 作者: 新井輝,水城正太郎,師走トオル,田代裕彦,築地俊彦,…

神世希の悪戯(神世希「神戯」)

神世希「神戯」の感想です。予想を超えて楽しめました。続編の「未来方程式」即ポチるくらいには好きです。 神戯-DEBUG PROGRAM-Operation Phantom Proof (講談社BOX) 作者: 神世希,mebae 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/12/02 メディア: 単行本(ソ…

出遅れてしまいましたがワートリ再開めでたい(葦原大介「ワ—ルドトリガー」)

二年の療養を経てついに復活を果たした遅効性SF漫画「ワールドトリガー」がすごくいいところでSQに移籍になりましたねってなわけで今回はワールドトリガーの話です。本当はもう少し早く書くつもりでしたがだいぶ遅れてしまった。 ワールドトリガー 1 (ジャン…

十秒、あるいはもっと一瞬の(魚豊「ひゃくえむ。」)

Twitterである日突然流れてきた短距離走漫画「ひゃくえむ。」の話です。こういう作品が突如出現するの本当怖いですね。まだ始まったばっかりで全話無料みたいなのでさっさと読んでください。てかこれまだ六話だけなのか信じらんねえ。 pocket.shonenmagazine…

呪い呪われ、生きて死に(芥見下々「呪術廻戦」)

先日、呪術廻戦三巻と前日譚・呪術高専が発売されましたが皆さんちゃんと買いましたか? 三巻だけ買った? 0巻(呪術高専)も買いましょう。 呪術廻戦 0: 東京都立呪術高等専門学校 (ジャンプコミックス) 作者: 芥見下々 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 20…

臆病者の一歩(佐原ミズ「新装版 バス走る。」「尾かしら付き。」)

遅ればせながら佐原ミズ先生の新作「尾かしら付き。1」&「新装版 バス走る。」買いました。読みました。読んで、穏やかな雰囲気にあてられ、僕はしばらく使い物にならなくなりましたとさ。 尾かしら付き。 1 (ゼノンコミックス) 作者: 佐原ミズ 出版社/メ…

獣たちの宴(板垣巴留「BEASTARS」)

最近、板垣巴留先生の「BEASTARS」を一気読みしたんですがめっちゃくちゃ面白いですねこの漫画。無料公開されてた1,2巻を読んだ次の日に本屋へ走って全巻かってしまいました。11巻発売直後のタイミングで読めたのは大変良かった。 BEASTARS 1 (少年チャ…

無限の中の有限に(円城塔「Self-Reference ENGINE」)

円城塔先生の「Self-Reference ENGINE」を読んだんですね。これがすんごく面白くてしかしちっとも理解が追い付かない、今回はそんな話です。理解という言葉を使うべきじゃないような気がしていますがしかし僕の語彙では他に適切な語も見つからないし、そもそ…

世界は続くどこまでも(「Landreaall」32巻)

先日発売された「Landreaall」32巻が相変わらずたいへん面白かったです。というわけで記事一発目はおがきちか先生の「Landreaall」について。 Landreaall: 1【イラスト特典付】 (ZERO-SUMコミックス) 作者: おがきちか 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2012…

ブログはじめました

初めまして。勢い余ってブログをはじめてみました。はじめただけです。長文の書きなれなさに悪戦苦闘しつつ、飽きずに続けられるのか非常に不安なのですが、まあのんびり更新できればいいなーと思います。目標は週1ペース。 さて当ブログの方針ですが、特に…