鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

呪い呪われ、生きて死に(芥見下々「呪術廻戦」)

 先日、呪術廻戦三巻と前日譚・呪術高専が発売されましたが皆さんちゃんと買いましたか? 三巻だけ買った? 0巻(呪術高専)も買いましょう。

 

呪術廻戦 0: 東京都立呪術高等専門学校 (ジャンプコミックス)

呪術廻戦 0: 東京都立呪術高等専門学校 (ジャンプコミックス)

 

 

 

呪術廻戦 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

呪術廻戦 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 

 葦原先生の帯コメント「なめらかに人が死ぬ漫画です」がとても良いですね。なめらかに人が死にますもんね。

 第一話からずっと「死」という題材を扱っている本作は、いや扱っているからこそ、人死を「劇的なもの」として描かないのが徹底しているなと思います。だから二巻での彼の死はさらりと流されたし、今回三巻で訪れる死は何の意味もなく、ただただ「救えなかった命」でしかなかった。見開きすら使わないんですよね。きっと四巻でも人は当然のように死ぬのでしょう(本誌読んでるので今後の展開知っているんですけど)。悲しみを経て決意を新たにするのは生者であり、死者の「もしも」はほとんど語られることすらない。呪術師にとって他人の死はたぶん日常風景のひとつで、だからひとつひとつの死に本気の本気で向き合い続けていては壊れてしまうのかもしれません。それは虎杖の目指す「正しい死」の難度の高さを証明しているわけで……。

 

  0巻の話もします。もともとGIGAに掲載されていた、本編で二年の先輩やってる人たちが一年だった頃の物語です。こっちも死線が近い感じはするんですが、本編が死に方の話なのに対してこちらは生き方の話ですかね。言葉や運命で縛られた少年が自身の呪いを肯定するまで。どうでもいいですけどパンダがただひたすらパンダなところがとても好きです。

 呪いのそばで、死のすぐ隣で、呪術師として生きる。虎杖の目指す「正しい死」は、すなわち死に様転じて生き様の話であり、彼を含めて、悲劇に満ちた世界で自分の足で立とうとする彼ら彼女らはとても強いと思います。

 最近ジャンプがすごく面白いので今後色々話していけたらいいな。アクタージュとか鬼滅とかも面白いです。では今回はこれくらいで。