鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2023年1月まとめ

 

 一月はなんだかやたらめったら忙しく、何をしていたかあまり記憶がありません。本当に気づいたら終わっていた。何も覚えていないので当然書けることもあまりなく、さっさと感想に移ります。

 

紫色のクオリア (うえお久光)

 古典の域に入りつつある名作ラノベを読んでいこうキャンペーン、イリヤに続く第二弾です。今考えました。BWで色々読めるのにろくに読まずただお金を払っているだけになっているのでもっと読んでいきたいですね。

 二人の少女の関係にクオリア論を絡めたところを始発点に、あれやこれやとあっという間に信じられないくらい遠いところへカッ飛んで行ったのがとても良かったです。作中でも言及がありましたが『可能性を限定しな』かったのが素晴らしい。言葉の上での『なんでもあり』は、しかし大抵は物語の枠を保持するために何らかのルールが課されるものです。勿論本作でも最低限の舵取りはされているわけですが……とてもそうは思えないほどに枠組みが拡散していくので読んでいて楽しくて仕方がなかったです。宇宙の果てまで飛んで行った女の子が、最後にもう一人の少女の隣に戻ってくるラストも素敵です。

 

11文字の檻:青崎有吾短編集成 (青崎有吾)

 出版社もジャンルもてんでバラバラな短編をかき集めてできた短編集。本当に作者以外の全てがばらばらで、なぜかわたモテの二次創作まで収録されているという無法地帯ぶり。色彩豊かな短編の中で、特に輝いていたのは「恋澤姉妹」と表題作「11文字の檻」でしょう。

「恋澤姉妹」はジャンルそのものがどうしても内包してしまう宿痾をメタ的に組み込んだ中編で、幕切れまで一切のブレなく語るべきことを語りきった物語になっているのが良い。「11文字の檻」は極限までノイズをそぎ落としたシチュエーションから「問題を解く」という一点に注力し、極限までそぎ落としたはずのノイズすら含めて解答まで試行錯誤を繰り返すストイックな構成が楽しかったです。短編集としてはまとまりがある形にしてくれた方が好みだと思っていましたが、これくらいまとまりがないと一周回って好きかもしれません。

 

魔法使いの夜

 今月のベストワン。数か月のうちに映画が来てしまう! と焦って始めたけどまだ一年あったと中盤で気づきました。これプレイした結果、今月だけで新たに30,000円近く型月関連作に使ったと思う……月姫が高かった……。

 というわけでまほよです。滅茶苦茶良いジュブナイルでした。型月は登場人物がとにかく多く設定も複雑という印象がありましたが(たぶんFGOのせいだと思う)、本作は登場人物が最低限かつ設定の説明も丁寧でとても飲み込みやすかったです。設定が複雑でない、ということはありませんでしたが。

 青子と草十郎、有珠と草十郎、青子と有珠。単純な恋愛関係でなくとも確かに存在する三角関係を軸に、どこかちぐはぐに大人びている少年少女の冬。相容れず、理解さえ覚束ない主義信条をそれぞれに抱きながらも不器用に歩み寄ろうとする姿がとても愛おしかったです。三人ともめっちゃ可愛かったと思う。未来へ、明日へと絶えず変化を繰り返しながら変えることのできない部分を内心に持ち、それでも文明とともに変わっていくものもあり、落ち着く暇なんてあるはずもなく。そこらの大人よりよほどしっかりしているのに、年相応に幼い部分がある三者三葉の子供たちが、ベターハーフではない他者とともに過ごす限られた季節――という出会いの話が素晴らしかっただけに、十年続編が出ていないのが悲しいですね……。出会って、共に過ごし、そして必ず来る別れ。どうもバカ売れしたみたいなので、一、二年くらいで続編出てくれたら嬉しいなあ。

 

 というわけで今月はここまで。二月はあんまり小説読めなさそうだしゲームも終わらなそう(ペルソナ3素晴らしき日々を並行してるので数か月かかりそう)なので場合によっちゃ超ミニマム記事になるかもしれません。一番時間使うのは「侵略少女」になるでしょうけどね。推理してるんですけどマジで全然わからない。