鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2021年10月まとめ

 

 

 先月も書きましたがニンテンドースイッチを買いまして、今月はゲーム三昧でした。あの後「大逆転裁判1・2」「FE 風花雪月」を買ったせいで休日に終日ゲームしてることさえしばしばあります。どのゲームもボリュームがすごくて終わる気配がありません。超楽しい。

 あとは友人たちと「征服少女(古野まほろ)」の推理会をやったりしました。二か月間問題編に向き合う経験は初めてでいろいろなところがバグった気がします。超楽しかったし得難い読書体験だったな……と思うのですがいざとなると書くべきことが思い浮かばなかったので個別項目はありません。夢だったみたいな気分だぜ。

 では今月の名作たち。ちょっと少なめかな?

 

鉄鼠の檻 (京極夏彦)

 先月に引き続き百鬼夜行シリーズ第四弾ですね。本作は分冊で四つに分かれたせいで三巻表紙にでかでかと「の」の一文字が書かれているみたいです。もうちょい何とかならなかったのか。

 今回の舞台は禅寺という「言葉が異なる檻の中」。ということで、三作にわたって登場人物たちが絡めとられた憑き物落としの呪法が通じない事件になっています。言語という不完全な変換器を嚙ませたことで不可解な様相を呈してしまう異界の事件を、言語のみで成り立つ小説媒体にて作り上げたクソ度胸だけですでに好きですし、加えて内実が伴っているんだからもう大好きです。その内実を理解することは叶わず、もしかしたら伽藍堂でしかない可能性を孕んでいたとしても。

 異界の住人には呪法が通じない。だから異界を、檻を打ち壊すことこそが今回の憑き物落としであり、そしてそれでもなお真犯人……檻そのものの擬人化のような存在には最後まで憑き物落としが成らなかった。続く「絡新婦」に並んで、京極堂の限界が示された事件であったように思います。

 

絡新婦の理(京極夏彦)

 改めて読むと対応する冒頭部分と結末部分が本当に良いですね。平面を飛び越えて立体的・時間的にも拡張され絡まりあった事件を解体し、解体し、解体し尽くした果てに残った桜吹雪と闇の裔。言葉のみの対決。推理であれ憑き物落としであれ、手続きそのものを無効化してしまう蜘蛛の巣は、前作とは違う意味で呪法が効かない事件です。結末を知ったうえで読むと呪術師たちが何をしたのかが全く違って見えますね。おそらくは榎木津――最悪の場合「関わる」ことなく事件を解決しかねない探偵――を最大に警戒していたと見える蜘蛛。蜘蛛の巣を降りてから、すなわち事件が終わってから、彼女がその名を失くすまでの刹那を狙いすました憑き物落とし。理の擬人化たる二人が対決するのは、事件が語られる前と事件が語られた後である。構造美の化け物だと改めて感じました。

 

 

 と、今月は二作。少ない気がしますけど百鬼夜行二冊はどう考えても超ハイカロリーだと思うんですよ……。来月は塗仏……にはならない気がしなくもないです。ちょっとメフィスト賞読みたい気分なんですよね。

 とはいえ短すぎるのでちょっと追加。最近YouTubeで「ラグトレイン」のPVを延々リピートしてます。一年前のやつ? うるせえ!

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 この動画、シンプルながら動きが癖になりますね。ぴょこぴょこ跳ねてるとこが好きです。歌の気だるげな感じもよき。