神世希の悪戯(神世希「神戯」)
神世希「神戯」の感想です。予想を超えて楽しめました。続編の「未来方程式」即ポチるくらいには好きです。
神戯-DEBUG PROGRAM-Operation Phantom Proof (講談社BOX)
- 作者: 神世希,mebae
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/12/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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恐怖爆笑学園本格推理英雄エロ倒錯探偵神話超エンタメ大作という明らかにヤバげな紹介文を知り、結構楽しみに読んだわけですが、いやー評判通りすごい作品ですね。なにがなんだかよくわからない勢いに押されて押されていつのまにか終わっていました。1000ページの中に目一杯の好きが詰まっていて大変良い。
皆さん仰ってますが合う合わないが大きい作品、というか合う部分と合わない部分が渾然一体としていて評価が混乱する作品で、まさしく闇鍋のようでした。僕は八割大好きなので大好きですと宣言することにためらいはありませんが、しかし手放しに好きと言えない気持ちもよくわかります。文体と文章量で頭から読者をふるいにかけるのもったいないって思うと同時に、それゆけそのまま突き進め、と思う自分もいます(そういう人は結構多いんじゃないかな……そうでもない……?)。正直僕の中では後者の声の方が大きい。我が道を、荒野を迷わず行ってほしい。
しかしもちろん飛び道具だけのヘンな本ではありません。
ミステリとして一番の目玉は世界を巻き込むどデカい機械仕掛けでしょう。デカいが故にミステリ好きなら一目で気づくくらいわかりやすいですが、伏線と歯車の接続があまりに変則的で、あれよあれよと予想もつかない着地点に至る様はさながら魔法のようでした。力技とも言う。仕掛けを成立させるため生じた歪みを他ジャンルに還元したのはカオスの収束としてとても美しいと感じます。どれかひとつ欠けてもこうはならなかった。作品として成立はしても、こんなバカみたいに楽しい小説にはならなかったでしょう。「神戯」はシンプルなミステリでも「本格推理探偵神話エンタメ大作」でもなく「恐怖爆笑学園本格推理英雄エロ倒錯探偵神話超エンタメ大作」なのです。
オススメはしませんが、読んで損をすることもないと思いますので機会があれば是非一読を。
あ、作品の構造については羊毛亭さんのネタバレ感想が詳しいのでそちらをご覧ください。超わかりやすい。