鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

小説の話

平成ミステリベスト・ひとりで延長戦

平成が終わりますね。何が変わるとも思えませんが、しかしひとつの節目となるのも確か。色々あったらしい平成の三十一年をここらで振り返るのも良いでしょう。てなわけでツイッター上で行われました「平成ミステリベストアンケート」に投票しました。お祭り…

あるいは気まずさの効用について(青崎有吾「早朝始発の殺風景」)

会話劇が好きです。さらに、シチュエーションがシンプルであればあるほどいい。というわけで「早朝始発の殺風景」を読んだ感想です。全編ワンシチュエーションかつ登場人物は最低限というストイックさ。楽しかったー。 早朝始発の殺風景 (単行本) 作者: 青崎…

高校生の季節(米澤穂信「本と鍵の季節」)

米澤先生の新刊は二年ぶりらしいですが本当ですか? なんかもっと出てた気がする。いまさら翼といわれてもとか一年くらい前じゃない? はいそれはさておき、今回は米澤先生の「本と鍵の季節」の感想です。二年ぶりらしいです。 本と鍵の季節 (単行本) 作者: …

回帰、拡張、絶望の底はまだ遠く(オキシタケヒコ「筺底のエルピス6-四百億の昼と夜ー」)

筺底のエルピス6巻の感想になります。今回もやばかったですね。みんなやべえやべえ言ってて何事かと思いながら読んだら本当にやばかった。 筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜- (ガガガ文庫 お 5-6) 作者: オキシタケヒコ,toi8 出版社/メーカー: 小学館 発売…

真っ赤な嘘と青い春(石川博品「耳刈ネルリ三部作」)

石川博品先生の「耳刈ネルリ三部作」の感想になります。一巻二巻のお祭り騒ぎももちろん素晴らしかったのですが、三巻から感じた「まつりのあと」の物寂しさが特に素晴らしかったです。 耳刈ネルリと十一人の一年十一組 (ファミ通文庫) 作者: 石川博品 出版…

日々は過ぎ去り変わってゆく(しめさば「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3)

ひげ三巻の感想です。今回は三島が……三島が……。 ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3 (角川スニーカー文庫) 作者: しめさば,ぶーた 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/01/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 2人でいることがすっかり当た…

L・O・V・E!を繋いで(リレー小説「ネコのおと」)

富士ミスが生んだ問題作、「リレーノベル・ラブバージョン」こと「ネコのおと」の感想です。ネタバレまみれですのでお気をつけて。 ネコのおと―リレーノベル・ラブバージョン (富士見ミステリー文庫) 作者: 新井輝,水城正太郎,師走トオル,田代裕彦,築地俊彦,…

神世希の悪戯(神世希「神戯」)

神世希「神戯」の感想です。予想を超えて楽しめました。続編の「未来方程式」即ポチるくらいには好きです。 神戯-DEBUG PROGRAM-Operation Phantom Proof (講談社BOX) 作者: 神世希,mebae 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/12/02 メディア: 単行本(ソ…

無限の中の有限に(円城塔「Self-Reference ENGINE」)

円城塔先生の「Self-Reference ENGINE」を読んだんですね。これがすんごく面白くてしかしちっとも理解が追い付かない、今回はそんな話です。理解という言葉を使うべきじゃないような気がしていますがしかし僕の語彙では他に適切な語も見つからないし、そもそ…