鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2021年7月まとめ

 

 暑い。暑すぎる。最近は本当命の危険を感じる猛暑で、ずーっとクーラーの効いたおうちに引きこもっています。おかげで今月はかなり色々読めたし見れた気がしますね。本当は魔法特集みたいな感じにしよっかなーと思ってたんですが後半何気なく触れた作品が立て続けにスマッシュヒットを記録したのでかつてなくバラエティに富んだ内容になりました。では、魔法特集の名残である小川哲の小説から。

 

嘘と正典(小川哲)

  何年か前に無料公開され話題になった名短編「魔術師」を冒頭に置いた短編集。何度読んでも情報量の操作、およびその正確さがずば抜けていますね。過不足なく、淀みなく、人の身で成り立つ正確さだとは思えなくなる瞬間がある。通底するテーマは過去と今の連なりでしょうか。これはもちろん一面的な見方ですが、一連の短編は俯瞰するといずれも「魔術師」のバリエーションのように見え、しかしその面白さに決して飽きずに楽しめる技量が恐ろしいです。個人的に一番好きなのは「ムジカ・ムンダーナ」。

 

 

友達として大好き ~3巻 (ゆうち巳くみ)

 早くも完結。 成長物語としてはたしかに一つの結果が出ているし、思い返してみるとイベントも急速で消化していたので納得は納得なのですが、しかしもうちょっと見たかったな~! 

 それはともかく、最初から最後まで読み心地がすごく良い作品でした。キャラがみんな素直でいい子ですごくかわいいんですよね。他人が大切にしているものを、間違いながらも大切にしようとする姿勢がいい。文化祭準備のエピソードなんかで顕著ですが、客観的に見て「そこまできちんとしなくてもいいんじゃない?」と思える約束事を全力で守りにいくサナコと、彼女の姿勢を尊重する学生らが本当に好きです。

 

 

MIU404

  連ドラ見たのすげえ久々。それこそ「アンナチュラル」以来かもしれません。ミステリの構図、画面の構図の使い方がすごく巧みな作品でした。二話でわかりやすく強みを見せてくれたのもありがたかったです。警察機構に属する彼らの推理は犯人には辿りつけてもその背後――罪を犯してしまうシステムへまでは踏み込めない、というのを自覚しているのが非常に好み。犯人の事情を知り、寄り添うことはあってもそれはあくまで個人の行いの範疇を出ない。ピタゴラ装置が自身のそばにも置かれていることを意識し、時に私情に振り回されながらも自身の役割を全うしようとする彼らのお仕事の先に、今とこれからの社会はあるのでしょう。

 

 

エリア51 ~15巻 (久正人

 神話、UMA、 妖怪などなどあらゆる超常が詰め込まれた閉鎖区・エリア51を舞台に、私立探偵マッコイの活躍を描いたなんでもありなごった煮アクション。とにかくカッコいい。黒の使い方もストーリーの流れもひたすらにカッコいい。たぶん世界一カッコいいすだれハゲが出てくる漫画だと思います。

 外連味溢れ、わりとノリ&勢い重視っぽいガワからは考えられないくらい理性的にエピソードを展開しているところもすごくよかった……とか思ってたら最終巻のあとがきでひっくり返りました。行き当たりばったりでこの出来なの⁉ どうなってんだ⁉

 

 

オッドタクシー

oddtaxi.jp

 此元和津也がアニメ原作を⁉ とびっくりして見始めたら面白くて一気見しちゃいました。お笑いのメソッドをもとに群像劇サスペンスを描く手つきがすげえよかったです。動物のガワが程よくエグ味を抜いてたり、全編計算のもとに成り立たせてあるのがよくわかる。そのうえで最終話にて前提を崩す(ひっくり返す、ではない)のがさらによかったですね。とんでもねえラストだったと思います。探偵役不在のお話において、事件の解決には辿りつけても犯人までには辿りつけない。

 あと、全話見終わった後に漫画も読んだんですが、漫画の方もすごく面白かったです。ストーリーの流れをほぼ踏襲してるのに雰囲気が全然違うんですね。漫画版、超オシャレ。そんで白川さんが妙にエロい。

 

 

 というわけで今月はここまで。小説、漫画、アニメ、ドラマととても楽しいひと月でした。映画も見れればなあ……ポンポさんかスタァライトかが近くでやってればなあ……と先月と同じこと言いますけど、言いますけどようやく見に行けそうです。帰省ついでに見に行けるぜ! 盆休み万歳!