鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2022年10月まとめ

 ここしばらくずっと文字を追う気になれず、余暇は専ら漫画とゲームに消えていくのが常だったのですが、ここひと月ほどはぼちぼちと小説も読んだりして過ごしていました。それでも月二、三冊程度ですがゼロ冊とは大きく違いますからね。読むのが大事。年内に2022年発売の新刊をある程度読んでおきたいのですが、積み期間が長すぎて今年発売したのどれかわかんねえ~と適当に読んでいます。体感二冊に一冊くらいは今年の新刊です。

 

Spotted Flower ~5巻 (木尾士目)

げんしけん」の木尾士目先生による社会人恋愛もの……の一言で済めばよかったのですが、そう簡単ではないげんしけんIF。げんしけんIF⁉ 自作のパラレルでこんな話を描いているという事実に勝手に緊張感を感じてしまいます。基本的な作風がポップで明るい(風に読めるようにしている)だけに異様な迫力がある。

げんしけん二代目」で形成された唯一無二の人間関係をモラトリアムの終焉後も継承し、本編からのたった一つの変化から連鎖する混乱をとても読みやすく、わかりやすい形で描いている本作ですが、それにしたって自身の代表作をスクラップ&ビルドすることにためらいがななさすぎる。なんならスクラップの時点で止めてないか? 本当にビルドする気あるのか? 困惑する点は多々ありますが、その中でも特に、高坂の掘り下げが本編以上に進んでいる点が一番わけがわかりません。

 

模型の町 (panpanya)

 二作続けての楽園コミック。恥ずかしながらpanpanya先生の作品は初めて読んだのですが、めちゃくちゃ面白かったです。キャラクターではなく世界と世界の描き方だけで戦える数少ない作家のひとりなのではと思います。

 異界というには現世に近く、現世というには不思議が多い。明らかにここではない場所を描いているのに、読んでいると強く今この場所・世界を強く意識してしまいます。模型は町を模している町ではないものですが、しかし同時に、やはり町そのものでもあるのです。

 

方舟 (夕木春央)

 夕木春央先生は三冊目でしょうか。「絞首商會」も「サーカスから来た執達吏」も面白かったですが、今後夕木先生の代表作として挙げるのは本作になると思います。

 水に沈みゆく謎の地下施設を舞台に、大枠はいわゆる「犯人当て」。派手でエンタメ的な舞台とは裏腹に、事件そのものはミステリの流儀に則り、非常に手堅く丁寧に紐解かれます。それだけでも十分満足できる内容だったでしょうが……それだけで終わらなかったのが素晴らしい。「動機を論理的に一意に定めることは不可能である」とは、多くの犯人当てが含む(ミステリが含む、ではないです)定義のひとつであり、覆しがたい事実です。しかし問題を解くことと事件を解決することは異なるというのもまたひとつの事実であり、本作はまさしくその差異を突いたと言えるでしょう。ちょー面白かった。

 

ダークソウル3

 楽しかった……。二週目しようか悩むくらいに楽しかった……。まだ一体ボスを倒せてなくて、倒せる気配もなくて心が折れているけどそれでも楽しかった……。

 フロムゲーはダクソ、エルデン、ブラボに続いて四作目のプレイでした。次はSEKIROかなあ。

 

 てなわけで今回は漫画二作、小説一作、ゲーム一作でした。他にもハンターハンター再開に伴って蟻から継承式を繰り返し読み返したりにじさんじ遊戯王祭り見ながら遊戯王のデッキ組んだり、ひっさびさにちゃんとアニメを観たりして過ごしています。観てるのは「ぼっち・ざ・ろっく!」と「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の二作です。ぼざろは劇中歌がとても良いのが素晴らしいですね。アルバム出るのかなり嬉しい。

 

 

 

2022年9月まとめ

 

 ここ数ヶ月なんとも小説を読む気になれず、もっぱらゲームするか漫画読むかで過ごしています。ゲーム、終わりどころを見つけるのが難しいですね。延々レベリングとかしちゃう。十月はダクソⅢで黒騎士を狩りまくったりしています。

 

Bloodborne

 九月の余暇をほぼ持っていった恐るべきゲーム。盾を使わない高速戦闘+リゲインという回復システムの合わせにより成る戦闘システムが滅茶苦茶楽しかったです。まあ、おそらく死亡回数はダクソ・エルデンをはるかに超えていたとは思うのですが……。

 ガスコイン神父を始めとする人型ボスが特に良かったです。滅茶苦茶に死にはするのですが、わりかしパリィが取りやすいので気持ちいいんですよね。とはいえ、DLCボスのゴースの遺児は死ぬほど苦戦しました……あいつの第二段階本当に許せねえ……雷の攻略法に気づくまで絶望しきってました。

 

新装版 げんしけん 1~5巻 (木尾士目)

 新装版を手に入れたのでせっかくだしと再読。こうして再読してみると、想像以上に笹原の影が薄い……。

 序盤のどこかくすんだ雰囲気のオタ青春ももちろん楽しかったのですが、人間関係の土台が出来上がった中盤からのギアのかかりっぷりはさらに輪をかけて素晴らしかった。ギスギスがいやに生々しいのに不思議と尾を引かないのは描き方の妙でしょうか。決してリアルさだけで成り立っているキャラばかりではないと思うのですが、全体として見ると調和が取れているのはどういうテクニックなのだろう。

 

げんしけん 二代目 10~21巻 (木尾士目)

 仕切り直しを挟みつつも無印からの継承・変化が主軸のひとつである二代目。無印から見られたキャラクターとセリフの鋭さが二代目はより研ぎ澄まされており、瞬間最大風速は無印以上だったと思います。

 白眉はやはり女装腐男子・波戸くんでしょう。彼と班目を軸とした人間関係の混乱を解きほぐす最終章・日光旅行編は本当にクリティカルなセリフしか出てこなくて怖くなりました。すさまじい。複雑怪奇極まりない心情と関係がほんの少しの言葉で剥き身になり、そしてとても彼ららしい結末へと収束していく様は魔法を見ているようでした。世間的にはやはり無印の方が評価が高いのでしょうけど、こちらが木尾先生の本領発揮だと思います。かくして完成された人間関係と物語はしかし完全に閉じることはなく、異なる流れ・出版社の中でさらなる「続き」へと継承されていく……。

 

 今月はここまで。げんしけん再読後、白泉社の「楽園」購読を決意しました。日々是平坦、イマジナリーとともに私に購読を決意させたとある作品の話はまた来月。

2022年8月まとめ

 今月はワンピースの映画を観たり、無料公開されているワンピースを読んだり、ワンピースの単行本を買ってワノ国編を再読したり、なぜかまたワンピースの無料公開が始まったのでワンピースを読んだりしているうちに過ぎていきました。国民的漫画が最終章に突入しただけあって、ものすごく力が入ったプロモーションが打たれてますね。

 

ONE PIECE FILM RED

www.onepiece-film.jp

 いわゆるお祭り映画にはあまり興味が引かれず、過去観たのはオマツリ男爵くらいだったのですが、今回ばかりは公開即観に行かざるを得ませんでした。だってすごい話題だったもの。

 シナリオ部分の面白さもさることながら、とかくウタというキャラクターがすごかったですね。ルフィの幼馴染でシャンクスの娘というおいしすぎるポジションであり、その二人のコアを垣間見せる触媒であり、そしてダブルキャストとしてado氏がアサインされており。特に最後のひとつがあまりに力強かったですね。劇場音響で鳴り響く圧倒的な歌唱力が、どんな言葉より雄弁に彼女のキャラクターを際立たせていました。

 

日々是平坦 1~4 (迂闊)

 楽園連載の「日々是平坦」と「純情男女交際」のハーフ&ハーフ。こういう形態の単行本初めて見ました。個人的には一冊一作の方が読みやすいですけど、こういうのもたまにはいいですね(おそらく掲載ペースの関係でしょう)。

 どちらも平坦なりの起伏があって楽しい作品でしたが、特に表題作が良かったです。平凡平坦、十年後にはきっと個別の思い出としては残らないようななんてことない日常が、積み重なることで大きなーーでもやはり大したことない青春になるのだと思います。

 

となりの怪物くん 1~13 (ろびこ)

 久々の再読。少女漫画式ラブコメはあまり読むことがないのですが、本作は何度も読み返しています。とにかく楽しそうなのが良い作品です。

 主人公・雫のキャラクターもさることながら、本作は脇を固めるサブキャラクターがたいへん魅力的です。特に夏目あさ子・山口賢二の二名はMVPではないかと。夏目さんは常に画面を華やがせる愛くるしいバカであり、彼女がいなければ作品の空気は大きく異なっていたでしょう。山口くんは明らかな当て馬であることを逆手に取るようなキャラクターデザインが見事でした。「一馬身差」というあまりに不名誉なあだ名が彼ほど似合う男はいないと思う。

 

アゲイン‼︎ 1~12 (久保ミツロウ)

 タイムリープ青春もの。「となりの怪物くん」とはまた違う形でキャラクターが見事な作品でした。

 本作の登場人物は誰も彼も一筋縄ではいかない造詣で、シンプルに好きだとも嫌いだとも言えないような人たちばかりです。良いところも悪いところもあるというのは人であれば当たり前のことですが、その両天秤に等しくフィクション的な誇張フィルターがかかるとこんなアクの強さに繋がるのか……と新鮮でした。また、キャラの成長のほとんどが「長所を伸ばす」方向であり「欠点を和らげる」方向へはほぼ進まなかったのも驚きました。なんなら長所すら伸びないキャラも多かった。成長も変化もなくとも、共に時間を過ごし人となりを知ることで意外と好感が持てたり、でも気が合わねえなと言うところもやっぱり多かったり。仲良くなったりならなかったり、そんなままならなさは学校という場が持つ明暗なのだと思います。

 

 今月はここまで。奇しくもキャラクターにウエイトを置いた四作となりました。

 

 

 

 

2022年7月まとめ

 

 最近遅刻しがちなこのブログ。今月は一週間遅れでお送りします。

 

映画ゆるキャン△

yurucamp.jp

 社会人編。社会人編⁉ 前情報を全く知らなかったので驚きつつ観に行きました。原作の良さを残しつつ、原作ではできないこと、しないことをやっていたのが良かったです。もともと「一緒にいること」だけが大事ではないとしてきた作品だからこそ、社会に出た後の友人関係の豊さが魅力的で羨ましくありました。年単位で合わない高校時代の友人とまめに連絡取りあっていて、会ったら当時のノリがよみがえる関係ってとてもいいと思います。できないことは増えたけど、それ以上にできることは広がったし、楽しいことはたくさんあるのだと示す手つきに押し付けがましさを感じなかったところも好みでした。余裕がある感じで。

 

5A73(詠坂雄二)

5A73

5A73

Amazon

 なんと2年ぶりの新作。待った甲斐あってとても楽しめました。語ること/語る意図について手を変え品を変え、時にミステリというジャンルから離れたりもしながらテキストを紡いできた詠坂雄二のローディング後の再始動であり、原点回帰でもあったと思います。そこに「意味がない」ことが確定している幽霊文字をモチーフに語られる意味についての右往左往。空の箱だからこそ、その内側には人の意図が入り込む余地があります。答えがないからこそ解釈は自由であり、自由だからこそ指針は見えない。作者たる犯人と別の作者である彼との間接的な対話は、本作を締めくくるに足る「作品」でした。

 

イマジナリー 2巻 (幾花にいろ)

 思ったよりも早く二巻が出て嬉しい。成人向けで鳴らしている幾花にいろ先生の全年齢版日常作品です。

 しょーもない会話とか、だらだら続く日常とか、あと画風がめちゃくちゃ良いところとか、一つ一つが地味ながらハイセンスで楽しい。日常のアベレージが高い。実のところ取り上げておいて特に言及するところは思いつかないのですが、言及するところのなさこそが魅力的な作品な気がします。いわゆる幼馴染な関係性が無茶苦茶好きなのでそこの加点も大きいです。後は年に二冊くらいのペースで出てくれればいうことないんですが高望みですかねー。

 

ゴールデンカムイ  (野田サトル)

 三十一巻にて遂に完結。最終盤の情報圧縮技術が凄まじく、加筆も伴ってとても贅沢な読書でした。最初から読み返したらえらく疲れた。

 アクの強いキャラクターの個性がぶつかり合って盤面を動かしまくるのががとても楽しく、結構な長期連載となりましたが最後まで飽きませんでしたね。サブクエも多かったし。長く付き合ってきただけあって、バケモノひしめく北海道を舞台に、その中でも特別にバケモノとしての側面を見せ続けてきた主要人物たちの物語が人間のそれとして閉じられたのには感じ入るものがありました。杉本も鶴見中尉もバケモノには違いないが、それだけの男ではない。

 

以上、今月は四作品。最近、ゲームの方はブラッドボーンを楽しんでいます。フロムゲー遊ぶのは三作目になりますが、今までで一番先頭システムが肌に合う。超楽しい。

 

 

 

漫画百選2022

 最近こういうのやってないな~ということで、好きな漫画を100作ほど並べてみようと思います。何らかの傾向が見えたら楽しいし、傾向がわからないならそれもまたいい。毎年夏になったら100作選出して、好みの変遷を見るなんてのも面白いかもしれないですね。とはいえ漫画の面白さはひとつではなく、だから基準はいくつも想定でき、故に今の100冊だって明日作れば違うラインナップになるものです。気楽に行きましょう。

 ではつらつらと。リンクを張ると間延びするのでタイトル、作者名と一言コメントくらいでいきます。順不同です。

 

1.ハイキュー!!/古舘春一 全45巻・完結

 バレーボール漫画。異様なまでに全てがハイレベル。

 

2.魔人探偵脳噛ネウロ/松井優征 全23巻・完結

 推理ものの皮を被った単純娯楽漫画だそうで。でも実はちゃんとミステリ。HAL編からSIX編が大好き。

 

3.結界師/田辺イエロウ 全35巻・完結

 退魔もののバトル漫画かと思いきやいざ読み返してみるとすげー変な漫画でした。

 

4.BIRDMEN/田辺イエロウ 全16巻・完結

 SFジュブナイル。目眩がするような速度で世界を駆けて行った。大好き。

 

5.鋼の錬金術師/荒川弘 全27巻・完結

 惚れ惚れする完成度。無駄がなさ過ぎて怖い。

 

6.銀の匙/荒川弘 全15巻・完結

 当然のように、やはり完成度が高い。無駄がなさ過ぎて一年目の時点で物語が進みまくり、さらに諸々の事情が重なって二年目以降がダイジェスト化した。

 

7.百姓貴族/荒川弘 既刊7巻・連載中

 実は荒川作品で一番好き。死と隣り合わせすぎるぜ。

 

8.GUNSLINGER GIRL/相田裕 全15巻・完結

 いつ読んでも泣いてしまう。たった一つの 想い貫く 難しさの中で僕は。

 

9.1518!/相田裕 全7巻・完結

 諦念のあとに来るものを前向きに描いているところがとても好み。生徒会活動に焦点を当てた作品って他にあるのだろうか?

 

10.エリア51/久正人 全15巻・完結

 最高のB級漫画。世界一カッコいいスダレハゲが出てきます。

 

11.血界戦線血界戦線B2B/内藤泰弘 通算20巻・連載中

 最高のB級漫画。今日も今日とて世界の危機じゃお祭りじゃ。

 

12.トライガントライガン・マキシマム/内藤泰弘 全3+14巻・完結

 言うまでもないが最高のB級漫画。まさか再アニメ化するとは夢にも思っていなかった。

 

13.医龍/乃木坂太郎 全25巻・完結

 ドラマ版との違いにみんなが驚くが、もうドラマ版の存在知っている人の方が少ないのだろうか……。いわゆるホワイダニットの要素がかなりあります。ミステリです。

 

14.Thisコミュニケーション/六内円栄 既刊7巻・連載中

 持ち駒と勝利条件がはっきり示され、問題編と解決編がテンポよく繰り返される。そう、ミステリです。

 

15.うたかたダイアログ/稲井カオル 全3巻・完結

 無駄話コメディ。ビバ青春の道草。宇多川さんも片野くんもかわいいです。

 

16.ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン/荒木飛呂彦 全24巻・完結

 超カッコいい。ジョジョで一番好きです。

 

17.吸血鬼すぐ死ぬ/盆ノ木至 既刊21巻・連載中

 準レギュラーがほとんど変態。変な生き物とかキッスとか準レギュラーになったらだめだよ。

 

18.Q.E.D./加藤元浩 全50巻・完結(続編連載中)

「立証責任」「夏のタイムカプセル」「凍てつく鉄槌」「坂道」「多忙な江成さん」「Question!」「罪と罰」「ライアー」「光の残像」「マジック&マジック」「エレファント」「代理人」「巡礼」「グランドツアー」

 

19.かげきしょうじょ!!/斉木久美子 既刊12巻・連載中

 スピンオフの切れ味が鋭すぎる。

 

20.ナナマルサンバツ/杉基イクラ 全20巻・完結

 競技クイズの楽しさが詰まっている。スクエア編のお祭り騒ぎ感がとても好きです。

 

21.ONE PIECE/尾田栄一郎 既刊103巻・連載中

 今さら挙げなくてもいいか……と思ったけどいざ読み返すと死ぬほど面白いので入れないわけにはいきませんでした。

 

22.イマジナリー/幾花にいろ 既刊2巻・連載中

 絵がめちゃくちゃ良いんだけど絵がなくても読めるくらいに会話が好き。

 

23.ぼくらの/鬼頭莫宏 全11巻・完結

 ウシロが契約したあたりからの展開がめっちゃ良い。コエムシ、いいキャラでしたね。

 

24.エアマスター/柴田ヨクサル 全28巻・完結

 好きなキャラクターの話だけで延々話続けられるともっぱらの噂。僕は佐伯とフカミチ兄が特に好きです。

 

25.シャーマンキング/武井宏之 全27巻(完全版)・完結

 作品自体が死んで復活を繰り返している。続編も面白いのでぜひ。スピンオフもほぼ本編並の重要エピソード集になっているのでぜひ。

 

26.キューティクル探偵因幡/もち 全19巻・完結

 ギャグマンガを読んでいる時に稼働する回路ってミステリに近いよなと思うことが度々あります。探偵も出てくるし、ミステリです本作は。

 

27.学園天国パラドキシア/美川べるの 全10巻

 ヨゴレヒロインの可能性を見た。大槻さん可愛いと思うんですがダメですかね……。

 

28.ワールドトリガー/葦原大介 既刊24巻・連載中

 群像劇がうますぎて完結が一向に見えてこない。最高。

 

29.ロッキンユー!!!/石川香織 全4巻・完結

 なんとしてでも単行本にカラーページを収録すべきだったと思う。続編描いてくれてるのがとても嬉しいです。

 

30.ハイスコアガール/押切蓮介 全10巻・完結

 負けっぱなしじゃいられないから、何度でもコンティニューするのだという、そういう話。この絵柄で素直に可愛いと思えるのがいいです。

 

31.メランコリア/道満清明 全2巻・完結

 しょうもなく、余韻がよく、テクニカル。ショートショート描かせたら右に出る人はいないのではと思います。

 

32.ニッケルオデオン/道満清明 全3巻・完結

 きわめて当たり前に不思議がそこにあるのがとてもよいです。

 

33.ポケットモンスターSPECIAL/日下秀憲&真斗→山本サトシ 既刊61巻・連載中

 ルビサファ編とダイパ編が好きで、エメラルド編とプラチナ編はそんなにでもない。のびのび冒険しててほしいんだと思います。

 

34.九井諒子作品集 竜の学校は山の上・竜のかわいい七つの子・ひきだしにテラリウム/九井諒子 短編集

 イマジネーションの一本槍だけで戦える凄み。いくらでも描いてほしい。

 

35.有害無罪玩具・偽史山人伝/詩野うら 短編集

 詩野うらが姿を消して二年が経ってしまった。帰ってきてくれ……お願いだ……。

 

36.宙に参る/肋骨凹助 既刊2巻・連載中

 弔いと残されたものたちの話。去っていく側が実に楽しそうで満足げなのがとても好ましく思います。

 

37.宝石の国/市川春子 既刊11巻・連載中

 ヤバい。

 

38.市川春子作品集 虫と歌・25時のバカンス/市川春子 短編集

 ヤバくないわけがなかった。

 

39.スキップとローファー/高松美咲 既刊7巻・連載中

 いい所もちょっとよくない所もすべてが愛おしい。

 

40.ブルーピリオド/山口つばさ 既刊12巻・連載中

 青い炎が最も温度が高いのである。あれだけ頑張って入った美大が全然楽しくなさそうなの、容赦ねえなと思います。

 

41.波よ聞いてくれ/沙村広明 既刊9巻・連載中

 全然リアルではなくリアリティもないはずが絵柄と題材のせいで騙されそうになる。宗教団体編がバカすぎてめちゃくちゃ好きです。

 

42.ハルシオン・ランチ/沙村広明 全2巻・完結

 下巻で気が狂ったのかと思ったけどよく考えたら上巻から狂ってたような気もする。

 

43.メダリスト/つるまいかだ 既刊6巻・連載中

 泣くときも笑うときも本当に一生懸命なのが伝わってきて、つられて泣いたり笑ったりしてしまう。

 

44.友達として大好き/ゆうち巳くみ 全3巻・完結

 不器用にまっすぐで、眩しくてたまらない。本当に本当に大切な会話があって、それが彼女らを支えているという事実に救われます。

 

45.アリスと蔵六/今井哲也 既刊10巻・連載中

 ジュブナイル。モノローグのやわらかい優しさがすごく好きです。

 

46.ぼくらのよあけ/今井哲也 全2巻・完結

 やっぱりジュブナイル。映画化するのがとても嬉しいです。夏映画でやってくれよと思わなくもないけど!

 

47.パンプキン・シザーズ/岩永亮太郎 既刊23巻・連載中……連載中なんだ……そのはずなんだ……

 思考と論理によって導かれるロマン。考え続け、戦い続けてこそ世界は変わるのだ。

 

48.違国日記/ヤマシタトモコ 既刊9巻・連載中

 違う国で違う言葉を使う人たちが一緒にいて会話をしているというただそれだけに救われた気持ちになる。

 

49.BUTTER!!/ヤマシタトモコ 全6巻・完結

 良いことも悪いことも当たり前にあって、ギリギリのところで羨ましい青春の側に転ぶ感じがとても好き。誠実というか、総じてバランス感覚がいいんですよね。

 

50.ナナとカオル/甘詰留太 シリーズ全28巻・完結

 最後の最後までキスすらしないので、当然健全な漫画です。嘘ではないです。

 

51.ゴールデンカムイ/野田サトル 全31巻・完結

 化け物のような個性がパズルのように組み合わさってできた大きな大きな絵巻物。最後まで動き続けていたのがすごい。

 

52.嘘喰い/迫稔雄 全49巻・完結

 脳汁が出まくる。よくわかってない部分も結構あるんだけど出まくる。

 

53.かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜/赤坂アカ 既刊26巻・連載中

 告ってからもしれっと続くのがいいです。告っても物語が終わっても人生は続く。

 

54.インスタントバレット/赤坂アカ 全5巻・完結

 今読むとかぐや様に継承されている部分がちらほらと見受けられると思います。やさしくなりたい、優しくない人々。いつか完全版を読める日を楽しみにしています。

 

55.金色のガッシュ!!/雷句誠 全33巻・完結

 バディものといえばみたいなところがある。2がめちゃくちゃ面白くて嬉しい。

 

56. ほしとんで/本田 全5巻・完結

 めちゃくちゃ真面目。大学生ものでくされ大学生の片鱗さえ見えないのって実はかなり希少なのでは?

 

57.数字であそぼ/絹田村子 既刊7巻・連載中

 くされ大学生かと思いきやかなり真面目。少なくともかつての僕よりよっぽど学問に向き合っているのでえらい。

 

58.うみねこのなく頃に/竜騎士07&作画担当各位 全50巻・完結

 ちゃんと赤字が赤字に、青字が青字になってたのがえらい。みんなプロレスが上手すぎる。

 

59.虚構推理/城平京&片瀬茶柴 既刊17巻・連載中

 岩永琴子と桜川六花に改めて血肉を与えたこのコミカライズがなければ小説版虚構推理シリーズの再始動はなかったと思います。

 

60.天賀井さんは案外ふつう/城平京水野英多 全4巻・完結

 案外ふつうのタイトル通り、奇天烈な設定がさらりと流れていく雰囲気がとても好きでした。やりたい放題っぷりが気持ちいい。

 

61.スピーシーズドメイン/野呂俊 全12巻・完結

 学校全体が超楽しそうなのがいいです。全員がボケツッコミのどちらにも対処できる異界。

 

62.僕と君の大切な話/ろびこ 全7巻・完結

 大切な話には聞こえない無駄話の積み重ねが、当人たちにとってはとても大切なキミとの話だということ。全員可愛げのあるアホなところに好感しかない。

 

63.ちはやふる/末次由紀 全50巻・完結

 つい最近完結しました。長い長い旅の末に頂上にたどり着いた彼女たちですが、まだ道の半ばです。

 

64.児玉まりあ文学集成/三島芳治 既刊3巻・連載中

 言葉が世界を規定し、視座が世界をうつくしくする。文学でありながら、同時にSFでもあります。

 

65.キャッチャー・イン・ザ・ライム/背川昇 全2巻・完結

 捕まえて、と願いを込めた言葉を投げる。捕まえて、捕まえて、大きな輪ができていく。

 

66.子供はわかってあげない/田島列島 全2巻・完結

 ジュブナイル。ひと夏の青春お気楽サイキックハードボイルドボーイミーツガール。得難いワードセンスがある。お気楽でいられたところがとても好きですね。

 

67.水は海に向かって流れる/田島列島 全3巻・完結

 シリアスな人間関係はあれど、日常はゆるやかに、海に向かってながれていく。

 

68.はねバド!/濱田浩輔 全16巻・完結

 いい子ちゃんなだけではないクセのあるキャラクターを描くのが上手すぎるので、それを活かせるフィールドを見つけられてよかったなと思う。

 

69.新婚のいろはさん/ÖYSTER 既刊6巻・連載中

 いろはさんがかわいい。マジでかわいい。ハジメくんもかわいい。

 

70.GA 芸術科アートデザインクラス/きゆづきさとこ 全7巻・完結

 絵もストーリーも上手いので次回作はぜひコマ割りがある漫画を描いてほしい。ちなみに初めて画集を買った作品です。

 

71.堕天作戦/山本章一 既刊5巻・連載中……連載中なんだ……そのはずなんだ……

 必死で生きる命の瞬きが眩しい。高い空に手を伸ばす、死にゆく命について。

 

72.ひゃくえむ。/魚豊 全5巻・完結

 本当に足の速さだけで駆け抜けていくとは思っていませんでした。

 

73.正しいスカートの使い方・お尻触りたがる人なんなの・他/位置原光Z 短編集

 かわいいしエロいけど肌を出してるわけではない。唯一無二だなあと思います。

 

74.動物のお医者さん/佐々木倫子 全12巻・完結

 動物がかわいく人間はこわい。

 

75.映画大好きポンポさん/杉谷庄吾 全3巻+α・たぶん完結

 構成に隙がない。映画化により完成されたと思う。まあ近くで上映してなかったから見られなかったんですが……。

 

76.惑星9の休日/町田洋 短編集

 どこまでもシンプルに、印象的。素晴らしい。

 

77.化物語/西尾維新大暮維人 既刊17巻・連載中

 どういうわけか化物語が完璧に漫画になっている。こんなシーンあったっけ? あったか……あったな……。

 

78.バイオーグ・トリニティ/舞城王太郎大暮維人 全14巻・完結

 夢のコンビ過ぎる。期待に200%応えているのが本当に凄い。絵の圧にも物語の圧にも押しつぶされそうでした。

 

79.それでも町は廻っている/石黒正数 全16巻・完結

 最後まで楽しかった。終わってもなお、それでも町は廻るのである。

 

80.3月のライオン/羽海野チカ 全16巻・完結

 時折投げ込まれる鋭い言葉にドキリとする。本当に、本当に真剣なのが伝わってくる。

 

81.実は私は/増田英二 全22巻・完結

 ハイテンションなギャグとシリアスがシームレスに繋がっているのが楽しかったです。最終巻、全部好き。

 

82.バチバチシリーズ/佐藤タカヒロ シリーズ全48巻・未完

 本当に残念ですが、それでも、あの幕切れには神様がいたと思います。

 

83.鉄楽レトラ/佐原ミズ 全6巻・完結

 優しい人たちの不器用な在り方に何度も泣きそうになりました。一巻を何度読み返したかわからない。

 

84.保健室の死神/藍川松 全10巻・完結

 安田の存在は発明だったと思います。単独でネットミームと化すだけはある。

 

85.背すじをピン!と/横田卓馬 全10巻・完結

 絶妙にカッコ悪い部分があるところも含めて、青春濃度が高すぎて窒息しそう。

 

86.戦闘破壊学園ダンゲロス/架神恭介横田卓馬 全8巻・完結

 マジでまんま漫画になっていてビビる。これを勝手に漫画化して雑誌に載せた横田先生はクレイジーだぜ。

 

87.夏目友人帳/緑川ゆき 既刊28巻・連載中

 描き方が優しすぎてぼろぼろ泣く。

 

88.ARIA/天野こずえ 全12巻・完結

 こっちは優しすぎてつい笑顔になる感じですね。見開きが綺麗すぎる。

 

89.よつばと!/あずまきよひこ 既刊15巻・連載中

 大人の全力っぷりに勇気づけられる。ジャンボみたいになりたかった……。

 

90.アンの世界地図/吟鳥子 全5巻・完結

 副題は「It’s a small world」。ということで、一人の少女の小さな小さな世界地図の話。

 

91.最果てのソルテ/水上悟志 既刊2巻・連載中

 「終わり」をはじめから意識するのは水上作品の常ですが、今度の旅はどう終わるかわからなくてドキドキします。

 

92.甘々と稲妻/雨隠ギド 全12巻・完結

 気づいたら幼児がめちゃくちゃ大きくなってて遠くの従妹とかを見てる気分になる。

 

93.青い花/志村貴子 全8巻・完結

 綺麗なばかりではないけれど、それでもこの小さな青い花はとてもきれいだと思います。

 

94.昭和元禄落語心中/雲田はるこ 全10巻・完結

 タイトルの通り心中の話ですが、落語がそうであるように、語られ受け継がれるものの話でもあります。

 

95.まちカドまぞく/伊藤いづも 既刊6巻・連載中

 ほのぼの四コマのつもりで読み始めたら密度の高さにノックアウトされた。まちカドでのほほんする話じゃなく、まちカドを守るために頑張る話だとは。

 

96.ONE OUTS/甲斐谷忍 全20巻・完結

 野球をする気がないやつVS野球をする気がないやつの勝負を野球漫画でするんじゃない。

 

97.G戦場ヘヴンズドア/日本橋ヨヲコ 全3巻・完結

 本気で戦えば世界は変わるし、本気でないなら何も変えられない。

 

98.今際の国のアリス/麻生羽呂 全18巻・完結

 生きるための話をするには死ぬ話をしなくてはならない。

 

99.つづきはまた明日/紺野キタ 全4巻・完結

 また明日、と言える日常。子供と大人の話に本当に弱いんですよね……。

 

100.Landreaall/おがきちか 既刊39巻・連載中

 何度読み返しても新しい発見がある。セリフの奥行きが本当に良い。

 

 

2022年6月

 暑すぎません?

 

ペルソナ5 ザ・ロイヤル 

 祝、switch版発売! ということでペルソナ5。先月のエルデンリングに続き、六月を八割ほど持っていかれました。ひとまずラスボスは倒したので、今はのんびり二週目を進めています。十股プレイです。いや、やらないわけにもいかないじゃないですか、十股。それだけですから。

 画面のすみずみまでオシャレで見ても聞いても楽しいのが良かったですね。ダンジョンはそれなりに長いですが戦闘一回が短いのでテンポよく進められたのもありがたかったです。オクムラシャドウだけは許さないけど。

 ジャンルが変わるらしい「ファントムストライカーズ」も早いとこやりたいですね。steamサマーセールとかもあってかなり忙しくなってきました。

 

 

ケイジカ(ショルダー肩美)

omocoro.jp

 改めて見るとなんだこのペンネームは。オモコロ掲載の短編漫画ですね。

 大まかな筋は、部屋に現れた奇妙な男と部屋の主がウィットと詭弁に満ちた会話をするギャグマンガ……というだけなのですが、最後の最後で思わず「嘘じゃん」と爆笑してしまう仕掛けが出てきて二度三度と読み返す羽目になりました。知ってから読むと確かにそういう話なのですが、だからこそ予想がつかないんですよね。本質的に意味がない話で、意味がないゆえに予想は出来ない。

「ショーハショーテン!」読んでても思いましたが、ロジックに依るギャグ漫画は構造がほぼミステリですね。

 

 

ショーハショーテン! (小畑健/浅倉秋成)

 浅倉先生と小畑先生のコンビってなわけで読もう読もうと思っているうちに二巻が出てました。浅倉先生何やってんの、と思ったらどうもお笑いやってた時期もあるようで。

「伏線の狙撃手」としてのスキルを遺憾なく発揮した話の進め方になっているのが面白いです。題材からしても淀みが出てしまうと一気につまずいてしまうと思うんですが、まったく滞りなくストーリーが進行していくので安心して読めますね。順調にキャラが増えているので、この調子でいろんな笑いの型と考察を見ていきたいなあ。声の抑揚や喋りのテンポを聞かせられないというハンデをベテランの小畑先生が上手くフォローしてくれているのも大きいと思います。

 

なめらかな世界と、その敵(伴名練)

 何年も前からすごいすごいと聞いてはいましたが、読んでみたら予想以上にすごくておったまげた。恐ろしく実力のある書き手が頑ななまでにひとつのテーマに全力を注いでいる様には、ある種恐怖すら感じます。なんでも書ける中で選択される君と僕の物語。「きみとぼく」だといわゆるセカイ系ぽく聞こえますね。実際そういう向きはあると思いますが、それも一つの側面でしかないと思うので君と私とかに言い換えておきましょうか。

 なめらかに広がる並行世界、架空の年代史、デザイン可能な感情……様々なかたちで可能性が拡張された世界でたったひとつを、あなたを選ぶということ。断絶をもたらすのがその可能性であるならば、ふたりを繋げるのもやはり同じ可能性であるということ。斜線堂先生の解説文がけだし名文です。ひたむきな一途さでジャンルから受け取った愛を次代へ繋ぐ、すばらしい作品集でした。

 

 

 てなわけで今回はここまで。ゲームやってると本読む時間がどんどん減っていきますが、それでも面白い作品にぶつかれるのは本当にありがたいです。

 

2022年5月まとめ

 なんとびっくり二週間遅れ。なんやかや忙しかったので遅れました……と言いたいところですが、GWからこっち計200時間以上はゲームやってるので忙しくて更新する時間がさ~、とは言えませんねエルデンリング。忙しかったのも、まあ一応本当ではあるのですが。

 んで、今月の話です。先月ちょろっと言いました通り、ひたすら遊んでおります。「ELDEN RING」を!

 ダークソウルを去年初めてプレイし、僕にとっては二作目のフロムゲーになります。めっちゃ楽しい。オープンワールドな死にゲーということで、高い自由度と低いプレイヤースキルが噛み合って幾度となく苦難を強いられていますが、回り道も武者修行も楽しいです。たまに「流石に理不尽だろクソが!」となるのもご愛嬌。でも序盤も序盤にいきなり鉱道に飛ばすのは良くないと思います。マジ許さねえ。

 てなわけでのんびりペースで楽しんでいます。プレイ時間はやたら嵩んでいますが。プレイ時期もあってばんばん攻略情報ググりながらやってますが、何も知らずに大地を走り回るのも楽しそうですね。何も知らないと殺されるゲームですけど。

 ひとつ恐ろしいのは、レベル100を超えてもこれっぽっちも攻略が楽にならないことですね……。未だに気を抜くと一撃で死ぬ……。

 

 というわけで、今月はエルデンリングの一本柱です。来月は「ペルソナ5 ザ・ゴールデン」の話以外にも本の話ができたらいいな〜。ペルソナも既に100時間やってるんだぜ。