鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2022年8月まとめ

 今月はワンピースの映画を観たり、無料公開されているワンピースを読んだり、ワンピースの単行本を買ってワノ国編を再読したり、なぜかまたワンピースの無料公開が始まったのでワンピースを読んだりしているうちに過ぎていきました。国民的漫画が最終章に突入しただけあって、ものすごく力が入ったプロモーションが打たれてますね。

 

ONE PIECE FILM RED

www.onepiece-film.jp

 いわゆるお祭り映画にはあまり興味が引かれず、過去観たのはオマツリ男爵くらいだったのですが、今回ばかりは公開即観に行かざるを得ませんでした。だってすごい話題だったもの。

 シナリオ部分の面白さもさることながら、とかくウタというキャラクターがすごかったですね。ルフィの幼馴染でシャンクスの娘というおいしすぎるポジションであり、その二人のコアを垣間見せる触媒であり、そしてダブルキャストとしてado氏がアサインされており。特に最後のひとつがあまりに力強かったですね。劇場音響で鳴り響く圧倒的な歌唱力が、どんな言葉より雄弁に彼女のキャラクターを際立たせていました。

 

日々是平坦 1~4 (迂闊)

 楽園連載の「日々是平坦」と「純情男女交際」のハーフ&ハーフ。こういう形態の単行本初めて見ました。個人的には一冊一作の方が読みやすいですけど、こういうのもたまにはいいですね(おそらく掲載ペースの関係でしょう)。

 どちらも平坦なりの起伏があって楽しい作品でしたが、特に表題作が良かったです。平凡平坦、十年後にはきっと個別の思い出としては残らないようななんてことない日常が、積み重なることで大きなーーでもやはり大したことない青春になるのだと思います。

 

となりの怪物くん 1~13 (ろびこ)

 久々の再読。少女漫画式ラブコメはあまり読むことがないのですが、本作は何度も読み返しています。とにかく楽しそうなのが良い作品です。

 主人公・雫のキャラクターもさることながら、本作は脇を固めるサブキャラクターがたいへん魅力的です。特に夏目あさ子・山口賢二の二名はMVPではないかと。夏目さんは常に画面を華やがせる愛くるしいバカであり、彼女がいなければ作品の空気は大きく異なっていたでしょう。山口くんは明らかな当て馬であることを逆手に取るようなキャラクターデザインが見事でした。「一馬身差」というあまりに不名誉なあだ名が彼ほど似合う男はいないと思う。

 

アゲイン‼︎ 1~12 (久保ミツロウ)

 タイムリープ青春もの。「となりの怪物くん」とはまた違う形でキャラクターが見事な作品でした。

 本作の登場人物は誰も彼も一筋縄ではいかない造詣で、シンプルに好きだとも嫌いだとも言えないような人たちばかりです。良いところも悪いところもあるというのは人であれば当たり前のことですが、その両天秤に等しくフィクション的な誇張フィルターがかかるとこんなアクの強さに繋がるのか……と新鮮でした。また、キャラの成長のほとんどが「長所を伸ばす」方向であり「欠点を和らげる」方向へはほぼ進まなかったのも驚きました。なんなら長所すら伸びないキャラも多かった。成長も変化もなくとも、共に時間を過ごし人となりを知ることで意外と好感が持てたり、でも気が合わねえなと言うところもやっぱり多かったり。仲良くなったりならなかったり、そんなままならなさは学校という場が持つ明暗なのだと思います。

 

 今月はここまで。奇しくもキャラクターにウエイトを置いた四作となりました。