鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2022年3月まとめ

BOOK WALKERのラノベ読み放題プランに入った結果、一か月で42冊読むというかつてない記録が残りました。気になってたラノベをどんどん読めるのもありがたいんですが、これまで長らく残り続けていた小説電書への苦手意識が霧散したこともかなり大きいですね。積み続けていた「名探偵は嘘をつかない」をようやく読めるかもしれない。

 

異世界修学旅行(岡本タクヤ

異世界転移+高校生+行きて帰りし物語」から「修学旅行」を出力してくのが素敵です。キャラクターが楽しげで、とても真面目ないい子たちで、そして何より、バカやって笑いながら旅先でささやかな学びを修めているのがとても良かった。修学旅行の主目的……学びと思い出作りをいずれも蔑ろにせず、モラトリアムな旅路で成長する少年少女が眩しかった。そして本当に楽しそうな旅だったからこそ、終盤の寂しさに強い説得力がありました。6,7巻は特別素晴らしかったです。

 

シュタインズゲート

 言わずと知れた名作。キャラクター、構成、ストーリー、声優の全てが良かった。言うことなしですね。「違う時間を繰り返す」というループものの基本構造がゲームとストーリーにカチッとハマっていたのが上手い。無数にちりばめられた無秩序なキーワードが、ひとつの大きな流れを作っていくのを、岡部を通して我々――プレイヤーに選ばせている。終盤、投げかけられる言葉の重みをしっかりと感じられたのが素晴らしい。

 あと、声優さんの演技が本当に良かったです。あまりアニメに触れてないということもあって、微妙な声の違いをしっかりと演じ分けられるプロのすごさを改めて思い知りました。

 

冴えない彼女の育てかた(丸戸史明)

 一気読みしてしまった。何がすごいかひとつあげるなら加藤恵という存在を生み出したことだろうと思います。あからさまにベタなデザインから始まったヒロインズとストーリーが加藤恵という存在を軸にどんどんツイストしていくさまがとても面白く、心揺さぶられました。今になって振り返ると、第一部でどんどん髪が伸びていく生々しさエグいですね……。

 加藤以外のキャラだと、一巻表紙の澤村・スペンサー・英梨々がすごく好きです。ラブコメと創作という二軸のいずれにおいても重要な立ち位置にあり、そして一巻から隙間なくボコボコにされ続け、それでもなおキラキラ輝く強さがとても魅力的なキャラクターだったと思います。

 

ハイパーインフレーション 1~最新話まで(住吉九)

 絶頂時、精子の代わりに全身から番号が同じ偽札を放出するショタを主人公にしたコンゲーム漫画……と書くと完全にどうかしてるのですけど、しっかり頭使ってガンガン話を進めててめちゃくちゃ面白かったです。シナリオがしっかり理詰めなのに構成要素がどうかしてるので引力がすごい。時々「なぜこうなった」としか言えない画面がポンと出てくるのに全体の流れが全く淀みないの、どういうテクニックなんでしょう。最新の偽札づくり編は目を見張るようなアイデアが惜しみなく投入され続けてずっと面白いので、ぜひジャンプラで読んでみてほしいです。初回無料ですしね。

 

 以上四作。漫画よりもラノベの方が読んだ冊数多かった月なんて今後ないのではなかろうか。