鹿の積ん読

漫画を読んだり、小説を読んだり。好きなものの話をします

2121年3月 まとめ

 

 シン・エヴァンゲリオン観てきました。見出し作って個別に挙げりゃいいというのもわかるんですが、昼も夜もなく延々エヴァへの言及が流れてきてた現状で私が語る余地は全くねえな、でも全く触れないのもどうなのかな、ということで、とても楽しかったですとだけ言っておきます。マリと冬月がとても良かったです。

 では今月読んで面白かった作品たちです。

 

 

機動警察パトレイバー 文庫版1巻~10巻 (ゆうきまさみ

 リンクが文庫版じゃないのは気にしないでください。なんか見つからなかった。

 アニメ・漫画・小説・映画などなどメディアミックスが多岐にわたる言わずと知れた名作ですが、私、全媒体を通して今回が初めてのパトレイバーとなります。「ロボで戦う」「くたびれたおっさんが出てくる」「あっ軽い人びと」くらいしか知らない状態でスタートしましたが、この前知識通りの作品で、かつ予想を軽々超えて面白かったです。

 とても面白かったんですが、想像と大きく違うタイプの面白さで驚きました。ホントに少年誌でこれやってたのかよと言いたくなるくらい渋い。活劇感が全然ない。主人公が大人……というかメインが社会と組織と個人的な内面の話になってるのがすごいですね。当時読んでた少年たちはこのセリフ回しをどう受け取っていたんでしょうか。

 ついでに、この人が有名な後藤さんか……というちょっとした感動もありました。ちょい役かと思ってたら主役食うくらい目立ってて笑っちゃった。そりゃ人気でるよ。

 次は映画版とかも観たいですねー。どっかで配信してないかな。

 

 

呪術廻戦 公式ファンブック ( 芥見下々)

 この記事は基本何でもありなので当然ファンブックもありです。全体通して芥見先生がただただオタクでしかなくて笑ってしまった。黒棺について延々力説してるくだりがキモくて好き。BLEACHハンターハンターは当然として、嘘喰い喧嘩商売/稼業の話までしれっと出てくるのがまた良いですね。喧嘩稼業の話五回くらいしてなかった?

 こういう、どうやって話作ってるかの裏側を知れる本はやっぱり面白いです。八巻までの各話解説とかすげえ楽しい。幼魚と逆罰はDA PUMPのせいだったか……とか。

 ただ、あまりにもぶっちゃけてるというか妙に生々しい(この表現は少し違う気もする)手触りがあるので、苦手な人は苦手な本かもしれません。私は好きなんですけど、ライナーノーツ的なのって苦手な人も割といませんか? まあ呪術廻戦ファンブックといいつつ芥見下々徹底解剖みたいになってるのはどうかと思うけどな!

 

 

さんかく窓の外側は夜   〜10巻(ヤマシタトモコ

 

 完結。映画どういう構成になるんですかね。主役二人の関係に絞るのかな。

 冷川と三角を軸に、「信じる」「繋がる」「呪い」などシンプルなキーワードでストーリーをまとめ上げた手腕は流石です。キーワード群の中でも特に「信じる」ことが中心にあるのがホラーでありヒューマンドラマでもある本作にぴったりだなと改めて思いました。呪いの一形態として、目に見えるモノ、目に見えない何かを信じて人と繋がりたいと願うこと。その体現である霊能者たちと対極にあり、「信じない」という形でテーマを補強した半澤さんが個人的なMVPです。自分に見えるものを信じる。自身のうちにあるものを信じる。自分の欠落を埋めうる他者を信じる。言葉を信じる。そうやって人と繋がりたいと願う。ラストに発された冷川さんの願いは、その意味が不完全であることを含めて三角くんへの信頼の証であり、彼らの関係のスタートラインでもあったと思います。

 

 

卒業したら教室で (似鳥鶏

 

 

 シリーズ二作目「さよならの次にくる」から一年が経ち、葉山くんにとって市立高校での二度目の卒業式がやってきました。伊神さんに次ぎ、今回卒業するのは柳瀬さんです。卒業と変化に加えて継承がきちんと為されるあたりにこの一年での葉山くんの成長を感じますね。去年は伊神さんに一言伝えるのにえらい苦労をしていたというのに……まあ今回もケツを蹴っ飛ばされてようやく柳瀬さんと会話できたわけで、まだ残る一年での成長の余地も多そうです。

 ミステリ的には異世界パートがやたらと目立っているような気がしますが、現在/未来/異世界いずれのパートにおいても今回の肝はフーダニットよりホワイダニットかと思います。八番目の七不思議はなぜ生まれ、なぜ作者は犯人を知り得て、そしてなぜそれを十二年間秘匿していたのか。「なぜ?」の向こう側にある少女たちの青春こそが、今回の謎の核だと思います。

 

 

覚悟のススメ   1〜5巻  (山口貴由

 

 変身ヒーローが怪人を倒す漫画……なんですけれどその勢いと熱が尋常ではなくてビビる。破夢子は開始数ページで出てきていい敵ではないと思います。あとがきで作者の山口先生が「もう書けないだろう」という旨のコメントを残していましたがそれも納得の熱量で、紙面が焦げつきそうなほど熱くて鬼気迫ってる。かと思えば急にふざけたりもするから怖いんですが……。

 B級エンタメの到達点と読んでいい出来栄えでめちゃくちゃ良かったです。なんか半スターシステムみたいなことになってるようなので他の作品も読んでみたい。

 

 

数学少女対文学少女 (陸秋槎)

文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 

 

 初めての陸秋槎になります。ミステリに囚われてどうかしてしまった人の書くミステリが大好きなので、当然本作も大好きでした。

 取り扱うのはミステリ自体が抱えるどうしようもない不完全性。ミステリが持つ様々な制約をただ不自由をもたらす鳥籠と見なすのではなく、制約自体をを足場にして遊びまわらんとする前向きな意志がとても気持ち良かったです。ゲームはあくまでルールの上で行われるものであり、ならば明文化されているか否かに関わらず、すべての制約すなわちルールはゲームを助けるものでしかない。後期クイーン的問題をはじめとした様々な制限はミステリの限界であると同時に、多くの可能性を秘めた限りない大地でもあるはずです。不自由の中にあって自由を志すその姿勢は、レトリックの遊びにとどまらずどこまでも発展していくことだろうといちミステリ読みとして信じています。

 

 

ウマ娘 プリティダービー

dmg.umamusume.jp

 

 最近話題のスマホアプリです。なんとなく始めてみたらめっちゃ楽しくて、ひたすらスピード特化のウマ娘を育成しています。上のリンクはDMM版ですが私はスマホでやってるよ。

 これ育成パートはパワプロのサクセスみたいな感じって表現でいいんですかね。パワプロダビスタもやったことないんでわからないんですけど、ダイジョーブ博士もいるしきっと大きく違いはないはず……。ゲームシステムをろくに理解せず、パワーを上げたらどうなるのかよくわからないままたづなさんに従ってパワーを上げるダメトレーナーな私ですが、何人(何バ? ウマ娘をウマ扱いするのか人扱いするのかどっちが正しいのか)かグッドエンディングに到達できましたのでこのまま遊んでいきたいです。因子とかは相変わらずよくわからんけど。

 あとはレースムービーがめっちゃ楽しいです。すーげえ動く。まあ動く。構図も凝ってるし。実際の実況ぽくしてるからかたまに自分のウマ娘が全然画角に入らないところもこだわりを感じて結構好きです。オグリキャップのスキル発動して他をブッちぎるのがとても気持ちいいのでオグリさんばっかり育成してます。

 

 

 というわけで今回は7作品の紹介です。引っ越しとかでバタバタしつつも、立て続けに当たりを引けて嬉しかったです。次からもこれくらい書けたらいいな。

 あと最近めちゃくちゃSwitchが欲しいんですが、新居にWi-Fi環境がないという令和にあるまじき状況なので買うか悩んでます。ゼルダとかファイヤーエンブレムとかオンラインなしでも楽しいゲームいっぱいあるしいずれ買うとは思うんですが、電子書籍用のタブレットが先になるかなあ……。